なぜ壱・弐・参を使う?昔の漢数字「大字」の歴史と改ざん防止の真実

なぜ壱・弐・参を使う?昔の漢数字「大字」の歴史と改ざん防止の真実

なぜ壱・弐・参を使う?昔の漢数字「大字」の歴史と改ざん防止の真実とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを整理してお届けします。

ウェブ上の解説記事やSNSの質問箱では、大字に関する誤った情報が定説のように語られているケースが後を絶ちません。教養ある大人が恥をかかないために、ここで2つの決定的な誤解を解き明かします。

誤解1:「大字(だいじ)」は「漢数字の旧字体」であるという思い込み

検索エンジンで「漢数字 旧字体 変換」と調べる人の大半は、「壱」が「一」の昔の正式な書き方だったと勘違いしています。しかし、文字学(漢字の成り立ち)において「一」はずっと「一」であり、「一」の旧字体というものは存在しません。

古代中国の甲骨文字の時代から、「1」は横棒1本の「一」でした。「壱」という漢字は本来「もっぱら」「壺のなかに満ちている」という意味を持つ全く別の漢字であり、「一(いち)」と同音であることを利用して「改ざん防止用の替え玉」としてあてがわれた(仮借:かしゃ)に過ぎません。これに対して、「萬」は「万」の旧字体(正字体)であり、「圓」は「円」の旧字体です。つまり、「壱・弐・参」は旧字体ではなく別字(大字)であり、「萬・圓」は旧字体が大字の役割も兼ねているというのが文字学上の厳密な真実です。

誤解2:住所の「大字(おおあざ)」と数字の「大字(だいじ)」の混同

地方の住所表記で見かける「大字〇〇字△△」の「大字」と、数字の大字を混同しているケースも散見されます。地名における「大字(おおあざ)」は、明治22年の市町村制施行に伴い、江戸時代以来の自然村(本村)の区域を新しい村の区画として残したものであり、小字(こあざ)と対比される行政区画の呼称です。数字の大字(だいじ)は、画数の少ない「小字(しょうじ=一、二、三)」に対する呼称であり、語源も歴史的背景も全く異なる同字異義語です。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。