ハナキリンを増やす作業は、親株のメンテナンスであるハナキリンの剪定と切り戻しと表裏一体です。長く伸びすぎて間延び(徒長)した枝や、樹形を乱している枝を整理し、その切り落とした健全な枝を挿し穂として再利用するのが最も無駄のないアプローチです。
プロの生産農家も実践する具体的なステップは以下の通りです。
ステップ1:衛生的な切断器具の準備
作業前に園芸用ハサミやカッターナイフの刃先をエタノール消毒、または火あぶりで殺菌します。雑菌が付着した刃物を使うと、親株と挿し穂の双方が病原菌に侵される引き金になります。
ステップ2:枝の選定と切り戻し
親株の枝分かれしている基部近く、または節のすぐ下を狙って切り戻します。挿し穂として利用する長さは7〜10cm程度がベストです。先端の成長点が生き生きとしており、茎に適度な太さと硬さがある充実した枝を選びます。
ステップ3:樹液の洗浄と下葉の処理
切り口から噴き出す白い樹液に直接触れないよう手袋をはめ、直ちに流水で樹液を洗い流します。蒸散による極度の水分喪失を防ぐため、下部の葉は丁寧に取り除き、頂部の葉を3〜4枚だけ残します。トゲが密集している場合は、作業の安全のために基部付近のトゲをハサミで軽く落としても問題ありません。
ステップ4:日陰での乾燥保管
新聞紙や清潔なトレイの上に挿し穂を横たえ、直射日光の当たらない風通しのよい室内で2日〜5日間放置します。切り口を観察し、白っぽく膜が張ったように乾燥していれば準備完了です。
ステップ5:適切な用土への挿し付け
ハナキリンの挿し木に適した用土は、保水性よりも「水はけの良さ」と「無菌性」が最優先されます。市販の「多肉植物・サボテンの土」を使用するか、小粒赤玉土7:微粒鹿沼土3の比率でブレンドした用土が理想的です。肥料分の含まれた培養土を使うと、切り口から腐敗菌が侵入するため厳禁です。用土に割り箸などで深さ2〜3cmの穴を開け、乾燥させた挿し穂を優しく差し込み、倒れないよう周囲を軽く押さえます。