多くの読者が抱いた疑問が、「なぜ空知英秋は『鬼滅の刃』を描いたのか」という点です。表向きには、銀魂が連載初期から貫いてきた「売れている人気作に乗っかる」「話題のコンテンツを臆面もなくパロディにする」という伝統的なギャグの手法でした。映画の特報でも「乗っかり」「便乗」と自虐的に銘打たれ、銀魂ファンにとっては「これぞ銀魂の真骨頂」と受け入れられました。
しかし、その裏側には過酷な興行環境への危機感と後輩への深いエールが存在していました。映画公開当時は、世界的な感染症流行によってエンタメ業界や映画館が甚大な打撃を受けていた時期です。ファンが劇場に足を運ぶ強い動機を作り、映画館全体を盛り上げるための起爆剤として、空知氏自身が一肌脱ぐ形で企画された側面がありました。
さらに、同じ『週刊少年ジャンプ』で過酷な週刊連載を戦い抜き、社会現象を巻き起こすまでに成長した吾峠呼世晴氏への惜しみない敬意がありました。茶化すのではなく、原作者自らが魂を込めて全力で描き切ることで、「銀魂流の最大限の祝福とリスペクト」を表現したのがこのコラボの真相です。