1992年、ギターのManaとKöziを中心に結成されたMALICE MIZER。既存のロックバンド像に対するアンチテーゼとして産声を上げた彼らは、中世ヨーロッパのデカダンな空気感とゴシック・ロックの叙情性を融合させた独創的なスタイルを掲げた。ベースのYu〜kiが加わり、バンドは視覚と聴覚の双方から聴衆の精神を浸食する唯一無二の表現体系を形作っていく。
当時、急速に勢力を伸ばしていたヴィジュアル系シーンにあって、彼らの存在感は一線を画していた。楽器を演奏せずに舞台上で演劇的なパフォーマンスを繰り広げる斬新なアプローチは、旧来の音楽関係者を困惑させたが、熱狂的な支持層を着実に拡大していった。独自のインディーズレーベルMidi:Netteを設立し、自力で表現の場を耕し続けた真摯な姿勢こそが、後の大躍進の礎となったのである。