日本の豚肉文化とエンターテインメントの結びつきは根強い。人気ギャグ漫画『とんかつDJアゲ太郎』が描いたように、揚げる音や断面の美しさは、今や若者文化における視覚的快楽のアイコンだ。YouTubeのグルメ動画やNetflixの話題のグルメドキュメンタリー番組でも、分厚い豚肉の美しいピンク色の断面がサムネイルを飾り、何百万回もの再生数を叩き出している。
シズル感を強調した映像の氾濫は、視聴者の脳に「ピンク肉=最先端の美食」という強烈な先入観を植え付けた。だが、画面越しに伝わるのは視覚的なインパクトだけであり、その裏で施された安全管理のプロセスは映し出されない。映えを追求するあまり、現場の料理人が加熱時間を削るという本末転倒な事態すら起きているのだ。