熱による分解だけでなく、酸と接触した際の反応性も押さえておかなければなりません。炭酸水素ナトリウムにうすい塩酸(HCl)を加えると、激しい発泡を伴って中和反応が進みます。
NaHCO₃ + HCl → NaCl + H₂O + CO₂
熱分解との明確な違いは、酸と反応することで塩化ナトリウム(NaCl=食塩)が生成する点にあります。発生する気体自体は熱分解と同じ二酸化炭素(CO₂)ですが、加熱を必要とせず常温で瞬時にガスを放出するのが特徴です。
この化学反応は、身の回りの実用的な製品に数多く応用されています。胃酸過多を抑える胃腸薬(制酸剤)や、水に入れると泡立つ入浴剤(炭酸ガス発生錠剤)、さらにはホットケーキをふっくら膨らませるベーキングパウダーの膨張作用は、すべてこの化学変化によるものです。