点鼻薬は局所にしか作用しないと考えられがちですが、鼻粘膜は毛細血管が非常に豊富であり、薬剤の一部は血流に乗って全身へと移行します。そのため、血管収縮薬を含むナザール点鼻薬には無視できない副作用と禁忌事項が存在します。
主成分のナファゾリン塩酸塩は、全身の血管を収縮させる作用を持つため、高血圧、心臓病、糖尿病、甲状腺機能障害の持病がある人は症状を悪化させる危険性があります。また、緑内障を患っている場合、眼圧を上昇させるリスクがあるため使用前に医師や薬剤師への相談が必須とされています。
特に慎重な判断が求められるのが、妊娠中および授乳中の使用です。
添付文書上、妊婦または妊娠していると思われる人は「使用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談すること」と明記されています。血管収縮作用によって子宮動脈の血流に影響を与える懸念が理論上指摘されているため、妊娠中の独断による頻回使用は厳禁です。産婦人科や耳鼻咽喉科では、胎児への移行が極めて少ない局所作用型ステロイド点鼻薬が第一選択として処方されるケースが一般的です。
授乳中に関しては、短期間・適量の使用であれば母乳への移行量はごく微量とされていますが、連用は避け、医師に安全な代替薬を確認することが推奨されます。