初回通過効果のインパクトを定量的に評価する上で欠かせない指標が、バイオアベイラビリティ(生体内利用率:Bioavailability)です。これは、投与された薬物のうち「分解・代謝されることなく未変化体のまま全身循環血液中に到達した割合」をパーセンテージ(%)で表した数値を指します。血管内に直接薬剤を全量注入する静脈注射の場合、初回通過効果をまったく受けないためバイオアベイラビリティは理論上100%となります。
一方、経口投与された薬剤のバイオアベイラビリティは、消化管からの吸収率と初回通過効果(小腸および肝臓での代謝率)の積によって決まります。たとえば、消化管から100%吸収される薬剤であっても、肝臓を通過する際に代謝酵素によって90%が不活性化されてしまえば、最終的な生体内利用率はわずか10%にまで落ち込みます。医療現場で使われる主要な投与経路ごとに、初回通過効果の影響と薬理動態の特徴を比較した客観的データは以下の通りです。
表中の数値から明らかなように、たとえば代表的な狭心症発作治療薬であるニトログリセリンを経口投与(飲み薬として服用)した場合、小腸から門脈を経て肝臓を通過する過程で99%以上が代謝分解されてしまいます。全身を巡る血中に到達する有効成分は1%未満にとどまり、発作時の救命効果は望めません。一方、同じ薬剤を舌下投与に切り替えるだけで、バイオアベイラビリティは飛躍的に上昇し、わずか数十秒から数分で心臓の冠動脈を拡張させる劇的な血中濃度を達成できます。