初回通過効果とは?薬が効く仕組みと舌下錠・注射との違いを徹底解説

初回通過効果とは?薬が効く仕組みと舌下錠・注射との違いを徹底解説

初回通過効果とは?薬が効く仕組みと舌下錠・注射との違いを徹底解説の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。

初回通過効果のインパクトを定量的に評価する上で欠かせない指標が、バイオアベイラビリティ(生体内利用率:Bioavailability)です。これは、投与された薬物のうち「分解・代謝されることなく未変化体のまま全身循環血液中に到達した割合」をパーセンテージ(%)で表した数値を指します。血管内に直接薬剤を全量注入する静脈注射の場合、初回通過効果をまったく受けないためバイオアベイラビリティは理論上100%となります。

一方、経口投与された薬剤のバイオアベイラビリティは、消化管からの吸収率と初回通過効果(小腸および肝臓での代謝率)の積によって決まります。たとえば、消化管から100%吸収される薬剤であっても、肝臓を通過する際に代謝酵素によって90%が不活性化されてしまえば、最終的な生体内利用率はわずか10%にまで落ち込みます。医療現場で使われる主要な投与経路ごとに、初回通過効果の影響と薬理動態の特徴を比較した客観的データは以下の通りです。

投与経路・剤形初回通過効果の影響バイオアベイラビリティ目安臨床上の特徴・代表薬の事例静脈内注射(IV)なし(門脈を完全回避)100%(基準値)即効性に優れ投与量の誤差が生じない。救急救命・全身麻酔の標準。経口投与(普通錠)大(小腸および肝臓を通過)1%未満〜90%超(薬剤依存)ニトログリセリン(1%未満)、プロプラノロール(約25%)、モルヒネ(約30%)。舌下錠(口腔粘膜)なし(上大静脈へ直行)40%〜80%前後ニトログリセリン舌下錠。1〜2分で冠動脈拡張作用を発揮。内服の数十倍の利用率。坐剤(直腸投与)一部回避(約50〜70%回避)50%〜80%前後解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン等)。下部直腸粘膜から内腸骨静脈へ流れる成分は肝臓をバイパス。経皮吸収型テープ剤なし(皮膚毛細血管へ移行)高〜持続的一定フェンタニルパッチ、狭心症予防テープ。肝初回通過を回避し血中濃度を長時間平滑化。

表中の数値から明らかなように、たとえば代表的な狭心症発作治療薬であるニトログリセリンを経口投与(飲み薬として服用)した場合、小腸から門脈を経て肝臓を通過する過程で99%以上が代謝分解されてしまいます。全身を巡る血中に到達する有効成分は1%未満にとどまり、発作時の救命効果は望めません。一方、同じ薬剤を舌下投与に切り替えるだけで、バイオアベイラビリティは飛躍的に上昇し、わずか数十秒から数分で心臓の冠動脈を拡張させる劇的な血中濃度を達成できます。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。