暖簾をくぐる客のほぼ100%が注文すると言っても過言ではないのが、名物の焼き餃子です。厨房では中華鍋を振る金属音とともに、厚手の鉄板で次々と餃子が焼き上げられていきます。この餃子が神格化される最大の要因は、「パリッとした焼き面の香ばしさ」と「驚くほど軽やかな餡の舌触り」の共存にあります。
一般的なジャンボ餃子や肉汁過多な小籠包風餃子とは一線を画し、三幸園の餃子はやや小ぶりから中振りの絶妙なサイズ感。細かく刻まれたキャベツと白菜の水分を的確にコントロールし、豚挽き肉のコクをニンニクと生姜の香味野菜が引き締めています。口に入れた瞬間に広がる野菜の甘みは、過度な脂っこさを感じさせず、1皿(6個)を数分で平らげてしまえるほどの軽快さを持っています。
長年通い詰める出版関係者の証言によると、「深夜の校了明けにビールとともに流し込む三幸園の餃子は、単なる食事を超えた精神安定剤だった」と語られます。卓上に用意された醤油、酢、自家製ラー油で自分好みのタレを作る時間は、まさに神保町の日常風景。冷めても皮の弾力が損なわれにくいため、テイクアウト需要が極めて高い点もこの餃子の実力を物語っています。