SNS等で頻繁に見かける「韓国の水は硬水だからシャンプー泡立たず髪がきしむ」「硬水で肌が荒れた」という言説は、科学的な事実とは異なります。韓国の水道水の硬度は平均40〜70mg/L程度であり、日本(全国平均約50mg/L)とほぼ同等の「軟水〜中軟水」に分類されます。欧州のような極端な硬水(硬度200〜300mg/L以上)ではありません。
ではなぜ、多くの渡航者が現地での洗顔や洗髪で違和感を覚えるのでしょうか。取材と成分分析から判明した決定的な要因は以下の3点に集約されます。
第一に、配管由来の微小な錆と沈殿物です。前述の通り、古い給水管を通る過程で目に見えないレベルの酸化鉄や配管不純物が溶出している場合があります。これらが皮膚の角質層やキューティクルに付着することで、ざらつきやごわつきを引き起こします。
第二に、強めの残留塩素と消毒副生成物です。韓国の都市部では衛生管理の観点から配管内の殺菌力を保つため、日本よりも塩素濃度が高めに設定される傾向があります。残留塩素は皮膚の脂質バリアを壊し、髪のタンパク質を酸化させるため、乾燥肌の人や敏感肌の人は入浴直後から痒みやつっぱりを感じやすくなります。
第三に、滞在中の食生活や気候による体内外の複合ストレスです。韓国の気候は日本以上に湿度が低く乾燥しており、カプサイシンを多く含む辛い刺激物やアルコールの摂取が増えることで、体内の水分バランスが崩れます。水質の違いに加えて環境変化が重なることで、肌のバリア機能が低下しトラブルが表面化するのです。