車内からクラクションを鳴らすよりも角が立たない合図として重宝される一方で、パッシングには公式な統一ルールが存在しません。そのため、前後の文脈やシチュエーションによって込められた意味が大きく変化します。代表的な5つのパターンを整理しました。
① 道を譲る合図(右折時や合流時)
交差点で右折待ちをしている際、対向の直進車が速度を落としながらパッシングしてきた場合、「お先に右折してください」という道を譲るサインであることが一般的です。細い路地でのすれ違い時にも「どうぞ先にお通りください」という意味で頻繁に用いられます。
② 抗議・怒り・威嚇のサイン
無理な割り込みをされた直後や、前走車が法定速度を大幅に下回って追い越し車線を塞ぎ続けている際、背後から浴びせられる強いパッシングは「危ない」「早く進め」「どけ」という強い苛立ちや威嚇を表します。また、対向車のハイビームが眩しい時に「眩しいからロービームに切り替えてくれ」と抗議する意味で使われるケースも多々あります。
③ 対向車への「警察の取り締まり」や異変の警告
見通しの良い直線道路や峠道ですれ違う対向車からパッシングを受けた場合、「この先で警察の速度取り締まり(ネズミ捕り)をやっている」「前方に事故車や落下物がある」という危険の事前警告である可能性が高いといえます。ドライバー同士の暗黙の助け合いとして古くから使われてきた合図です。
④ お礼や挨拶
道を譲ってもらった際、感謝を伝えるために短く1回だけ点滅させる使い方です。ただし、近年は昼夜を問わずパッシングのお礼よりも、ハザードランプを2〜3回点滅させる「サンキューハザード」を用いるドライバーが主流になっています。
⑤ 自車の存在アピールや先に行く主張
見通しの悪い交差点やカーブの手前で「こちらに車がいます」と存在を知らせる合図です。ただし注意したいのは、一部の地域やドライバーの間では、交差点でのパッシングが「譲る」ではなく「自分が先に行くから止まれ」という意味で使われる点です。この認識のズレが重大な事故を引き起こす原因となっています。