このカードを語る上で避けて通れないのが、カイリー・アービングの古巣対決と因縁です。2017年から2019年にかけてボストンに在籍し、一度は再契約を公言しながらも退団に至った経緯から、TDガーデンの観客席は今なおカイリーに対して激しい敵意を剥き出しにします。
試合開始の選手紹介から鳴り響く大ブーイングのなか、カイリーはこの日18得点、FG成功率40%と沈黙しました。かつてのインタビューや手記で「過去の過ちを受け入れ、ボストンでの経験が人間的成長を促してくれた」と語っていたカイリーですが、セルティックスのガード陣による徹底した密着マークとスタンドからの異常な音圧は、確実に彼の判断力を鈍らせていました。
スポーツ心理学の視点から見ると、アスリートが敵地での過剰なストレスに晒された際、外部の感情的なノイズと自身のプレーを切り離す「心理的バウンダリー(境界線)」を保つことが不可欠とされます。しかし、TDガーデンに充満する敵意のエネルギーは強大であり、ボストンのディフェンスが仕掛けた肉体的なコンタクトと相まって、カイリーのフロー状態への突入を完全に拒絶していました。