五反田・海喜館の現在と地面師事件の真相!消えた55億と跡地の今

五反田・海喜館の現在と地面師事件の真相!消えた55億と跡地の今

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事件の背後で最も過酷な運命を辿ったのが、海喜館の真の所有者であった元女将です。地元住民の間では「頑固だが気品のある昔気質の女性」として知られていた彼女は、かつて多くの文豪や実業家に愛された老舗旅館を一人で守り続けていました。

しかし、晩年は体調を崩して旅館を休業し、敷地内の母屋でひっそりと隠遁生活を送っていました。周辺の開発業者や不動産ブローカーが毎日のように億単位の買収話を持ち込みインターホンを鳴らし続けましたが、女将は「先祖代々の土地を自分の代で手放す気はない」と頑なに拒否し続けていたと伝えられています。

地面師グループが暗躍していたまさにその時、女将本人は重い病気によって東京都内の病院に入院していました。地面師たちは、彼女が外界と連絡を取りにくい隔離された状態にあることを周到に嗅ぎつけ、不在の隙を突いて犯行に及んだのです。

悲劇的なことに、積水ハウスの巨額決済が行われたわずか3週間後の2017年6月24日、女将は入院先の病床で静かに息を引き取りました。享年72。自らの名前と大切な旅館が国際的経済犯罪に悪用され、55億円もの大金が動いていた事実を、本人は最後まで知ることはありませんでした。

子供や配偶者がいなかったことから、女将の死後は複雑な所有権の相続手続きが焦点となりました。血縁関係を遡って特定された複数の遠縁の親族が正当な相続人となり、数年に及ぶ遺産分割協議と未払い税金の清算が弁護士主導で進められました。最終的に、正当な権利者たちと信頼関係を構築した旭化成不動産レジデンスが適正な対価を支払って土地を一括取得したことで、数奇な運命を辿った海喜館の土地問題はようやく完全な法的決着を迎えたのです。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。