近年、三井住友銀行が夜間金庫サービスを順次終了させ、三菱UFJ銀行の夜間金庫窓口でも新規受付停止や拠点の統廃合が進むなど、都市部・地方を問わず撤退の動きが加速しています。なぜこれほど強固な支持を得ていたインフラが整理されているのか、背景には3つの決定的な構造変化が存在します。
第1の理由は、キャッシュレス化の影響による銀行窓口および現金取扱量の構造的減少です。経済産業省が主導してきたキャッシュレス決済比率は年々上昇し、飲食店や小売店における現金売上の比率は大幅に低下しました。その結果、夜間金庫の1日あたりの投函数が採算ラインを大きく下回る店舗が続出しています。
第2の理由は、物理設備の老朽化と莫大な更新コストです。夜間金庫は建物の外壁を貫通して地下金庫室へと連結する大規模な特殊機械設備であり、耐用年数を迎えた際の改修工事には数百万円から数千万円規模の費用が発生します。店舗の統廃合や空中店舗(ビル上層階)化が進むなかで、地上階に専用設備を維持し続けること自体が経営上の重荷となっています。
第3の理由は、銀行内部における厳格な人員配置とコンプライアンス管理の限界です。夜間金庫に投函された現金は、翌朝の窓口開店前に複数名の行員が立ち会い、手作業でバッグを開錠して金種を照合しなければなりません。金融DXや店舗のスリム化が進む現代において、毎朝決まった時間に多大な人的リソースを拘束する手作業プロセスは、銀行業務の効率化方針と完全に相反するものとなっています。