2024年1月、松本側が文藝春秋社および週刊文春編集長に対して約5億5000万円の損害賠償と訂正記事を求めて提起した訴訟は、同年11月8日、松本側が訴訟を取り下げる形で突如幕を閉じました。判決まで数年を要すると見られていた法廷闘争が早期終結した背景には、法的な実務判断とタレント生命をめぐるシビアな計算が存在しました。
吉本興業および代理人弁護士を通じて出された公式発表資料によると、松本側は「参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」とのコメントを公表しました。同時に、強制性の有無を直接示す客観的証拠が存在しなかった点、そして金銭の支払いや示談金等の授受が一切なかった事実が明記されています。
法曹関係者の分析によれば、民事訴訟の長期化に伴い、証人尋問などを通じて私生活の過酷なディテールが法廷で晒され続けるリスクは計り知れません。また、最高裁まで争えば3年から5年の歳月を空費することになり、還暦を超えた松本にとって「勝訴を勝ち取ったときには現場へ戻る体力が削がれている」という現実的な危機感がありました。早期の活動再開に向けた環境整備を最優先した結果が、合意による取り下げという結末でした。