ネットの隅っこで蠢いていたアングラな視覚文化を、メインストリームの爆発的トレンドへと押し上げた動力を語るうえで、プラットフォームの存在は外せない。中国のByteDance社が手掛けるTikTokのアルゴリズムは、ユーザーの潜在的な感情を察知するように、不気味で中毒性の高いショート動画をタイムラインに流し込み続けた。
15秒から1分程度の短い尺の中で、ノスタルジックな音楽とともにループされる不条理な映像。スマホの画面をスワイプするたびに現れるどこか懐かしく、そして決定的に狂っている世界観は、世界中の若者の指を止めさせた。言葉による説明を一切排除した直感的なビジュアルは、言語の壁を軽々と飛び越え、ハッシュタグを通じて地球規模の共感の渦を作り出したのだ。