本作が業界内で極めて異例と評される最大の要因は、「原作小説のストーリーを使い切った後の続編」である点です。シーズン1は、スパイ小説の金字塔を打ち立てたジョン・ル・カレが1993年に発表した同名小説を、舞台をアラブの春(2011年)前後に置き換えて見事に映像化し、原作のプロットを綺麗に完結させました。そのため、ナイトマネジャー シーズン2のあらすじは、完全なオリジナルストーリーとしてゼロから構築されています。
英BBCの制作発表資料によると、物語の舞台はシーズン1の劇的なクライマックスから「約8年の月日が流れた現代」です。元英国軍兵士であり、ホテルの夜間支配人(ナイト・マネジャー)から英情報機関のスパイへと身を投じたジョナサン・パイン(演:トム・ヒドルストン)。死線をくぐり抜けて巨悪を討ったはずの彼が、なぜ再び冷徹な国際陰謀の渦へと引き戻されるのか。制作陣の証言によると、パインは過去のトラウマを抱えながら身を潜めていたものの、地政学的リスクが激変した現代社会において、前作を遥かに凌駕する新たな国際的脅威と対峙することを余儀なくされます。
脚本を手がけるのは、シーズン1で高い評価を獲得し英国アカデミー賞(BAFTA)にノミネートされたデヴィッド・ファーが続投。2020年に他界した原作者ジョン・ル・カレの遺志を尊重するため、彼の息子であり自らも作家として活動するニック・ハーカウェイらがエグゼクティブプロデューサーとしてストーリー監修に全面参加しています。「ル・カレ作品特有の重厚な心理戦と倫理的ジレンマ」を徹底して継承した、正統な精神的続編としてのクオリティが担保されています。