本作の根底に流れる精神を語るうえで、落語家・笑福亭鶴瓶の存在を外すことはできない。長年にわたり『鶴瓶の家族に乾杯』で培われた「街の人々の懐へ一瞬で飛び込む間合い」と「飾らない人間味」は、この作品にも色濃く受け継がれている。
従来の旅・バラエティの枠組みを超え、人々の人生模様にまで迫る視線は、上質なドキュメンタリー番組そのものだ。鶴瓶という希代のインターフェースを通すことで、一見どこにでもある普通の日常会話が、かけがえのない人生ドラマへと昇華される。洗練された演出とは対極にある「生のぬくもり」が、ここには溢れている。