公平(Equity)は社会の格差を解消する万能薬のように語られがちですが、実務においては重大な副作用を伴う点を見落としてはなりません。インターネット上の議論や企業の人事現場で噴出しているのが、「過度な公平主義が引き起こす逆差別(Reverse Discrimination)」への不満です。
例えば、大学入試や昇進審査において特定の属性に下駄を履かせるような優遇措置を講じた場合、血の滲むような努力を重ねてきたマジョリティ層から「個人の実績や努力が正当に評価されないのは不公平だ」という強い反発が生まれます。これは、「個人の能力に応じた機会の平等を重視する立場」と「集団全体の格差是正を目指す結果の公平を重視する立場」の価値観の衝突です。
公平性を追求するあまり、配分の基準が不透明になったり、個人の主体的な努力を無効化してしまったりすれば、組織全体の士気低下や分断という深刻なモラルハザードを招きます。「誰にとっての公平か」という客観的な合意形成がないまま進められる配慮は、新たな不条理を生み出す危険性を孕んでいます。