日本の犬ドラマ史を語る上で欠かせないのが、実話に裏打ちされた骨太なドキュメンタリータッチの作品群と、独自の進化を遂げた警察犬・使役犬ジャンルです。
TBS開局60周年記念として制作された『南極大陸』は、1958年の第一次南極越冬隊における樺太犬の置き去り事件と、奇跡の生還を果たしたタロ・ジロの実話を描いた大作です。過酷な吹雪の中で仲間を失いながらも生き抜こうとする犬たちの姿は、極限状態における生命の輝きを鮮烈に描き出し、放送当時、多くの視聴者に深い衝撃と感動を与えました。
一方、昭和の時代に警察犬の存在を一般に広く定着させたのが『刑事犬カール』です。犯人追跡や人命救助で見せる俊敏なアクションと、女性ハンドラーとの固い信頼関係は、当時の子どもたちの憧れとなりました。平成に入ると、『警視庁鑑識班』シリーズなどに代表されるように、警察犬はよりリアルな捜査活動の一翼を担うプロフェッショナルとして描かれるようになります。
さらに近年では、NHKで放送された『オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ』のように、警察犬の内面をシニカルに擬人化しつつ、裏社会の闇に切り込むメタフィクション的なアプローチも登場しました。警察犬という伝統的モチーフは、時代ごとのクリエイターの挑戦によって今なお刷新され続けています。