物語のクライマックスとなる最終盤、権力者たちは反抗的な態度を見せた若者や、掟を破った少年少女を中庭へ連れ出し、最終処刑を執行します。
中庭の中央に据えられた椅子に犠牲者を縛り付け、舌を切り落とす、眼球をえぐる、頭皮を剥ぎ頭蓋骨を露出させる、生きたまま火炙りにするといった残虐の限りを尽くします。しかし、この虐殺を権力者たちは直接手を下すだけでなく、館の2階の窓から双眼鏡で代わる代わる観察し、自慰行為に耽るのです。
そして映画史に語り継がれる衝撃のラストカットが訪れます。虐殺の叫び声が中庭に響き渡る中、蓄音機から流れる優雅なラジオ音楽に合わせ、警備を担当していた2人の若いファシスト兵士が無邪気に笑顔を浮かべながらワルツを踊り始めます。「君の彼女の名前は?」「マルゲリータさ」という他愛もない日常会話を交わしながら幕を閉じるこの結末は、残虐行為そのものよりも、他者の痛みに一切関心を持たない「悪の凡庸さ」と冷酷さを浮き彫りにし、観客を深い絶望へ突き落とします。