このアーロンパーク編において、一部の初見読者から「ルフィはなぜナミの過去話を途中で聞かずに散歩に出かけたのか?」「冷たいのではないか?」という疑問や誤解が持たれることがあります。ナミの義姉であるノジコが村の過去を語り始めた際、ルフィは「おれはあいつの過去には興味ねェ」と言い放ってその場を立ち去っているためです。
しかし、これこそが尾田栄一郎氏が描くルフィという主人公の最大の美学であり、心理的な本質です。
ルフィにとって、ナミが過去にどんな過ちを犯したか、どんな事情で村を裏切るような真似をしたのかは、仲間として助けるかどうかの判断基準に一切関係ありませんでした。「過去がどうであれ、今目の前でナミが苦しんで泣いている」という事実だけで、戦う理由は100%成立していたのです。
また、アーロンパークの最上階にある「測量室」でのバトルにおいて、ルフィはアーロンを倒すこと以上に、ナミが血を吐く思いで海図を描かされ続けた部屋そのものを徹底的に破壊しました。「居たくもねェあいつの居場所なんて、おれが全部ぶっ壊してやる!」という叫びとともに建物を粉砕した行動は、ナミを縛り付けていた過去の呪縛そのものを物理的・精神的に解体する救済だったのです。