永作博美のキャリアを振り返る上で、アイドルグループribbonとしての熱狂は欠かせない原点だ。だが、多くのアイドルが直面する「卒業後の壁」を、彼女は軽やかに、そして大胆に乗り越えてみせた。劇団☆新感線の舞台などで泥臭く芝居の基礎を叩き込み、実力派が揃う名門・田辺エージェンシーへの所属を経て、本格的に女優としての階段を駆け上がっていく。
日本の芸能界において、元アイドルの看板を下ろし、作家性の高い映画監督たちから指名される役者へと脱皮するのは容易ではない。だが彼女は、小悪魔的な愛らしさと底知れぬ狂気を同居させる稀有な表現力で、業界の偏見を鮮やかに覆した。「可愛い」という消費の対象から、「人間の複雑な内面を体現できる表現者」へ。その覚悟に満ちた転身が、後の名作群へと結実していく。