ルーズソックスの歴史を遡ると、その起源は日本の女子高生向けに開発されたものではなく、アメリカのアウトドア・登山用ソックスに行き着きます。
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、米国のレッグウェアブランド「E.G.スミス(E.G.Smith)」が製造していた厚手のブートソックス(ブーツ用靴下)が日本に輸入されました。防寒や衝撃吸収のために作られたこの肉厚なソックスを、日本の女子高校生が「たるませて履くと可愛い」と制服に合わせたことが、すべての始まりとされています。
発祥の地については諸説あるものの、1990年代初頭に宮城県仙台市や茨城県水戸市などの地方都市で局地的なブームが発生し、それが東京・渋谷のコギャルカルチャーと結びつくことで全国的な社会現象へと拡大しました。1993年から1998年頃にかけて、雑誌『egg』や『東京ストリートニュース!』などのストリートメディアが牽引役となり、ルーズソックスは「平成ギャル文化」の絶対的なアイコンとしての地位を確立します。
当時の熱狂を象徴するのが「長さのエスカレーション」です。初期の50cm〜60cm程度から、80cm、100cm、さらには150cm〜200cmに達する「スーパールーズ」「ゴム抜きルーズ」が登場。重みでずり落ちるソックスを固定するため、白元(現・白元アース)が発売していたロールオンタイプの靴下止め用糊「ソックタッチ」が女子高生の必須携帯アイテムとなりました。朝の通学時や休み時間にソックタッチを塗り直し、理想のたるみ具合をミリ単位で整える行為は、当時のティーンにとって重要な儀式だったのです。