なぜ大隈重信の始球式でわざと空振り?日本野球のマナーが生まれた衝撃の真相

なぜ大隈重信の始球式でわざと空振り?日本野球のマナーが生まれた衝撃の真相

なぜ大隈重信の始球式でわざと空振り?日本野球のマナーが生まれた衝撃の真相についての最新情報を徹底解説します。

大隈の投じたボールがホームベースから大きく外れ、誰もが「ボール」の判定を予期したその刹那、打席に立っていた選手が電光石火の動きを見せました。打席にいたのは、早稲田大学野球部の1番打者・山脇正治選手です。 山脇はボール球に向かって豪快にバットを振り抜き、乾いた風切り音とともに見事な「空振り」を演じてみせました。この予想外のアクションに即座に呼応したのが主審です。打者がスイングした以上、ルール上の判定は文句なしの「ストライク」。主審が高らかにストライクコールを響かせると、スタンドは熱狂的な歓声と拍手に包まれました。大隈自身も満面の笑みを浮かべ、帽子を掲げて観衆の歓声に応えたと当時の記録は伝えています。 早稲田大学野球部の部史や当時の回顧録によると、山脇選手には明確な意図がありました。「大学の創設者であり、義足の身でありながら野球部のために尽力してくれた大総長の投げた記念すべき第1球を、無慈悲に『ボール』として記録に残すわけにはいかない」という、咄嗟の機転と敬意でした。 後世においてこのエピソードは「目上の人間に対する忖度」と単純化して語られるケースも見受けられます。しかし、当時の一次資料や関係者の証言を丹念に紐解くと、そこにあった感情は卑屈なゴマスリなどではなく、身体的苦難を乗り越えてグラウンドに立ってくれた恩師に対する、若き学徒の純粋な思いやりと「粋な計らい」であったことが浮き彫りになります。この美しい即興劇こそが、今日まで続く「始球式では打者が空振りして投手に敬意を払う」という日本独自の不文律の礎となったのです。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。