ネット上の情報では「独立すれば年収1000万はすぐ」といった威勢のいい文句が躍りますが、現実は甘くありません。業界の最前線で年収1000万円の壁を越えた先駆者たちの生の声と、そこに潜む過酷な現実に迫りました。
都内で脳卒中後遺症特化型の自費リハビリ施設を運営する元総合病院主任PT(38歳・起業4年目、役員報酬1150万円)は、当時の苦闘を次のように語っています。
「病院時代はどんなに重症の患者様を担当しても給料は月手取り25万円でした。思い切って政策金融公庫から800万円を借り入れて自費リハを開業しましたが、オープンから3ヶ月間の来客数はわずか4名。家賃と広告費だけで毎月40万円の赤字が垂れ流され、胃潰瘍で血を吐く思いをしました。技術があるのは大前提で、SEO対策、リスティング広告、チラシのポスティング、ケアマネジャーへの地道な挨拶回りといった泥臭い営業をやり切って初めて軌道に乗った。年収1000万は夢がありますが、それは経営者としての責任を全方位で引き受けた対価にすぎません」
また、関西地方で理学療法士として訪問看護ステーションを創業した代表(42歳、年収1400万円)の現場証言も示唆に富んでいます。
「ステーション立ち上げで最も過酷なのは看護師の確保です。PTは集まっても、法令上の人員基準を満たす看護師が退職すれば事業停止のリスクに直結します。プライドの高い医療従事者同士の人間関係の摩擦、急な当番対応、行政からの実地指導のプレッシャー。現場の施術から完全に手を引き、数字管理と人事マネジメントに徹する覚悟がなければ、途中でメンタルが崩壊します」
SNSや匿名掲示板(5ちゃんねる)のリハビリ職板では、「自費リハなんて一部のインフルエンサーのポジショントーク」「うちの訪問リハは歩合制でも年収550万が天井」といった悲観論が渦巻いています。しかしそれらの投稿を精査すると、「誰かが用意した雇用環境の枠内で給料を上げてもらおうとしている」共通点が見て取れます。自ら事業リスクを取り、仕組みを構築した人間だけが、天井を突き破る報酬を手にしているのが医療福祉ビジネスの真実です。