提供される看板料理の実力はどれほどのものなのか。現地取材と常連客の声を交えて詳細にレポートします。
まず運ばれてくる名物つぶ焼き(1人前5個)は、専用の木製台に熱々の状態で鎮座します。殻の奥まで染み込んだ秘伝のタレは、甘辛くコクがありながらも貝特有のエグみを一切感じさせません。添えられた木製ピックを殻の奥に差し込み、くるりと回しながら身を引き出すと、肝まで途切れずにつるりと取り出せます。弾力のある身を噛み締めると磯の旨味が爆発し、最後に殻に残ったタレをすすると、酒が進まないわけがありません。
そして、つぶ焼きと双璧をなすのが真っ黒なスープが特徴の醤油ラーメンです。見た目の濃厚さとは裏腹に、レンゲですすると驚くほどあっさりとした口当たり。魚介と野菜の旨味が溶け込んだスープに、釧路ラーメン特有の細縮れ麺が絶妙に絡みます。飲んだ後の胃袋に染み渡る計算し尽くされた塩分濃度と後味の軽さが、多くの呑兵衛に「かど屋で締めなければ釧路の夜は終わらない」と言わしめる所以です。