タイラー・ザ・クリエイターとは何者?世界が熱狂する「異端の天才」を徹底解説

タイラー・ザ・クリエイターとは何者?世界が熱狂する「異端の天才」を徹底解説

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タイラーのキャリアを語る上で避けて通れないのが、2000年代後半に彼が旗揚げしたラップ集団「オッド・フューチャー(Odd Future Wolf Gang Kill Them All / OFWGKTA)」の存在です。フランク・オーシャン、アール・スウェットシャツ、シド(ジ・インターネット)らを擁したこのクルーは、インターネットとスケートカルチャーを武器に、既存のメジャーレーベルシステムを完全に嘲笑う形で勃興しました。

2011年、自ら監督・出演した楽曲「Yonkers」のミュージックビデオで、ゴキブリを生きたまま口にし、カメラを睨みつけながら首を吊るという過激極まりないパフォーマンスを披露。MTVビデオ・ミュージック・アワードで最優秀新人賞を獲得したものの、そのダークで暴力的なリリックは激しい賛否両論を巻き起こし、イギリスやオーストラリアへの入国禁止措置を受けるなど、一時は社会問題化するほどの軋轢を生みました。

しかし、単なるショック・バリューで終わらなかったのが彼の真価です。2017年の名盤『Flower Boy』において、タイラーはかつての攻撃的な仮面を脱ぎ捨て、自身のセクシュアリティの葛藤や孤独、他者との接続への希求を告白。温かみのあるメロウなソウルサウンドへと劇的な舵を切りました。この勇気ある方向転換は、米ビルボードをはじめとする批評筋から絶賛を浴び、第60回グラミー賞で最優秀ラップ・アルバム賞にノミネートされるという歴史的な転換点を迎えたのです。

その音楽的探求は2019年の『IGOR』で完全に結実します。全米ビルボード200で初登場1位を記録し、第62回グラミー賞において念願の「最優秀ラップ・アルバム賞」を受賞。さらに2021年の『CALL ME IF YOU GET LOST』でも同賞を再び受賞し、名実ともにヒップホップシーンの頂点に君臨することとなりました。

前田 葵
著者

前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。