平穏な日常を取り戻した現場ですが、毎年7月8日の命日になると空気は一変します。奈良県警は現場周辺に数百人態勢の警察官を配置し、物々しい厳戒態勢を敷きます。
大和西大寺駅周辺に設けられる臨時献花台では、金属探知機を用いた手荷物検査が徹底され、花束以外の危険物持ち込みや不審な行動がないか鋭い監視の目が光ります。現場に参拝した人々の証言からは、年月が経っても風化しない深い追悼の思いが伝わってきます。
「事件の一報を聞いた時の衝撃が今でも忘れられません。もし安倍さんが今も生きていてくれたら、この不安定な世界情勢の中で日本をどう導いてくれただろうかと考えずにはいられず、毎年手を合わせに来ています」(大阪府から訪れた50代自営業男性)
「当時は幼かったですが、成人して政治や社会の重みを知るにつれ、命を賭して演説を続けた元首相への敬意が湧きました。花を手向け、前を向いて生きる決意を伝えました」(京都府から訪れた20代大学院生)
また、三笠霊苑の留魂碑には、命日だけでなく毎朝のように清掃に通い、花を替えて手を合わせ続ける地元の支援者や市民の姿も見られます。遺族である昭恵夫人は、命日前後に行われる法要や追悼イベントにおいて、集まった人々に向けて「皆様が今も主人を忘れず、温かい祈りを捧げてくださることに心から感謝いたします」と深く頭を下げ、静かに弔意を受け止めています。