森口悠子は、修哉が爆弾を設置することを行動パターンから完全に先読みしていました。彼女は事前に講堂から爆弾を回収し、少年Aの母親の研究室(大学の研究棟)へ爆弾を移設していたのです。
修哉が誇らしげに押した起爆ボタンは、皮肉にも彼が世界で最も愛し、再会を渇望していた実の母親を爆殺するためのスイッチとなりました。森口は電話口で、母親の研究室が爆破され炎上した事実を冷徹に伝えます。
絶望に打ちひしがれ、講堂の床に這いつくばって号哭する修哉の前に現れた森口。彼女は修哉の髪を掴み、耳元でこう囁きます。
「ここから、あなたの更生が始まるんです」
一瞬の沈黙の後、森口は不気味な笑みを浮かべてこう言い放ちます。
「……なーんてね」
このラスト台詞「なーんてね」には、観客に強烈な戦慄を与える2つの解釈が存在します。
- 更生などさせる気はないという宣告:「更生が始まる」という教育者らしい言葉を自ら否定し、修哉を一生救われない地獄に縛り付ける究極の嘲笑。
- 母親爆殺そのものの真偽を揺さぶる心理攻撃:本当に母親を殺したのか、それとも嘘なのかすら曖昧にし、修哉の精神を永遠の暗黒に突き落とす拷問。
映像演出や中島哲也監督のインタビュー証言を総合すると、映画版においては実際に母親は爆死しており、更生という救済を完全に否定した「純度100%の復讐達成宣言」として描かれています。命の大切さを身をもって知るための方法は「自分にとって最も大切なものを奪われること」であると、森口は修哉に身をもって教育したのでした。