二人の関係性に変化をもたらした最大の転機は、片岡が50代半ばで出会った「ヨガ」の存在だった。インド政府公認のヨガインストラクター資格を取得するほど没頭した彼の生活は、常人の想像を絶する領域へと入っていく。
毎日午前1時に起床し、腹膜を動かす浄化法や瞑想、ポーズの実施に4時間以上を費やす。その後、2時間かけて色とりどりの野菜や穀物を丁寧に味わう食事をとる。この過酷なルーティンを毎日欠かさず遂行するためには、徹底した静寂と独自の生活空間が必要不可欠だった。
深夜から動き出す夫のストイックなリズムと、家族の生活リズムとの乖離は次第に大きくなっていった。家庭という共同体の中で暮らすにはあまりに極端な生活様式が、結果として夫婦が別々の拠点で暮らす別居生活へとつながり、最終的な離婚への引き金となったことは否定できない。