宮崎の伝統的なご当地ラーメンといえば、白濁しながらも口当たりが軽やかで、豚骨の清湯に近い淡い旨味に中太の柔らかなストレート麺、そして箸休めのたくあんが添えられるスタイルが長年の主流でした。その市場環境へ突如として殴り込みをかけたのが、創業者・中野浩氏が立ち上げた風来軒です。
宮崎市清武町に構える風来軒 本店(加納本店)の厨房では、連日巨大な羽釜から噴煙のような湯気が立ち上ります。スープの原材料は、厳選された国産の豚骨と水のみ。香味野菜や余計な調味料でごまかすことを一切拒絶し、1日あたり数百キログラムに及ぶ大量のゲンコツ(大腿骨)や頭骨を、高火力で極限まで砕きながら攪拌し続けます。骨の髄液とコラーゲンが激しく乳化することで生み出されるスープは、レンゲを沈めた瞬間に伝わる濃厚なとろみと、豚骨特有の野性味あふれる芳醇な香りを放ちます。
創業当時の関係者の証言によると、開店当初は「宮崎の人の口には重すぎるのではないか」という懸念の声も少なくなかったと記録されています。しかし、舌の上に広がる圧倒的な旨味の純度と、後味に残る甘みは瞬く間に若者や現場作業員、ラーメンフリークの胃袋を掴み、瞬く間に「宮崎で濃厚豚骨といえば風来軒」という確固たるポジションを築き上げました。