モルヒネ(Morphine)は、ケシの果汁から抽出されるアヘンに含まれる天然のアルカロイドを精製した強オピオイド鎮痛薬です。医療の現場では、手術後の激しい急性疼痛や、がんの浸潤・骨転移に伴う激痛を緩和する目的で広く処方されています。
生体内には、エンドルフィンなどの内因性オピオイドが結合して痛みを和らげる「オピオイド受容体(主にμ受容体)」が存在します。モルヒネはこの受容体に強力に結合することで、脊髄から脳への痛みの伝達信号を遮断し、痛みの知覚そのものを麻痺させます。がん疼痛治療オピオイドの代表格として100年以上の歴史を持ち、その有効性と安全性のデータ量は他のどの薬剤よりも蓄積されています。
日本緩和医療学会のガイドラインにおいても、非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDs)では抑えきれない中等度から高度のがん性疼痛に対し、第一選択薬の一つとして推奨され続けています。