ラスベガスの巨大アリーナ。世界中から集まった猛者たちがしのぎを削るIBJJF主催ワールドマスター選手権のマット上に、彼の姿があった。スポットライトを浴びる映画の舞台挨拶とは全く異なる、熱気と緊張感が支配する世界だ。
足を踏み入れたのは茶帯のカテゴリー。長年鍛錬を重ねた者だけが立つことを許される高みである。一回戦で見せた鋭いタックルと力強いパスガード。初戦を突破した瞬間の咆哮は、彼がどれほどの覚悟を持ってこの大会に挑んだかを雄弁に物語っていた。客寄せの話題づくりなどではない。ひとりのアスリートとして勝利を掴みにいったその戦いぶりは、現地の海外選手たちにも強烈なリスペクトを植え付けた。