公式から開示された初期イラストの中で最もファンを驚かせたのは、ウサギの警察官ジュディ・ホップスとキツネの詐欺師ニック・ワイルドの初期ビジュアルおよび設定変更の軌跡だ。現行の映画では前向きで情熱的なジュディと、皮肉屋だが心優しいニックの黄金ペアとして親しまれているが、初期のコンセプトアートにおけるニックは、より暗く、孤独を抱えた「悲劇の主人公」として描かれていた。
元々のプロットでは、肉食動物たちに「電撃首輪」の着用が義務付けられた、はるかにディストピア要素の強い世界観が検討されていた。当時の設定画には、首輪のショックに耐えながら生活するニックの痛々しい姿や、どこか殺伐とした街並みが記録されている。制作途中で「観客が感情移入しにくい」として破棄されたものの、ジュディ・ホップスの真っ直ぐな瞳とニック・ワイルドの不敵な笑みの造形は、この重厚な没設定があったからこそ深みを与えられたのだと痛感させられる。