大河ドラマ『江 姫たちの戦国』において、出産という一大イベントは主人公・江の精神的成熟と、歴史の歯車が大きく動く瞬間を象徴する重要な節目として配置されました。江は生涯で2男5女をもうけた多産な女性ですが、ドラマ内で特にドラマチックに尺を割いて描かれたのが第28回「秀吉の遺言」と第36回「江、男を産め!」から第37回「最後の勝利者」にかけてのエピソードです。
第28回では、秀忠との間に授かった最初の子である長女・千姫の誕生が描かれました。秀吉の死期が迫る不穏な空気の中、初めての陣痛に苦悶する江と、どう接してよいか分からず戸惑う若き秀忠の初々しい夫婦関係が克明に描写されています。誕生した千姫は、わずか2歳にして豊臣秀頼のもとへ嫁ぐ宿命を背負わされており、喜びと同時に戦国の非情さが際立つ名場面となりました。
さらに物語の最大の山場となったのが、徳川家の命運を担う嫡男・竹千代(後の3代将軍・徳川家光)を出産する第36回〜第37回です。家康からの「必ず男児を産め」という凄まじいプレッシャー、天下分け目の関ヶ原の戦いを経て徳川の世を盤石にしなければならない重圧が江にのしかかります。陣痛で汗にまみれ、絶叫しながら我が子を世に送り出すシーンは、同作屈指のクライマックスとして放送当時から瞬く間に話題を呼びました。