格調高く、品格に満ちた表現を求めるならば、歴代のアメリカ大統領のなかでも屈指の演説巧者として知られるバラク・オバマの言葉遣いが極めて有用な手本となる。彼自身、父親の不在に苦しんだ経験を持ち、自らが娘たちの良き父であろうと苦闘し続けた人物だからこそ、父親という存在を語る言葉には異様なまでの熱量が宿る。
オバマは2008年の父の日演説で、父親の責任と慈愛についてこう語った。“Of all the rocks upon which we build our lives, we are reminded today that family is the most important. And we are called to recognize and honor how critical every father is to that foundation.”(私たちが人生を築くあらゆる土台のなかで、家族こそが最も重要だ。そして父親という存在がいかにその礎として不可欠であるかを、私たちは称えなければならない)。
こうした演説から得られる学びは、形容詞の選び方だ。「good」や「great」で終わらせず、「foundation(土台)」、「guiding light(導きの光)」、「steadfast(揺るぎない)」といった重厚な語彙をサラリと織り込む。それだけで、英語メッセージは単なる挨拶状から、一生手元に残しておきたくなる記念碑的な手紙へと昇華する。