コブクロ「蕾」歌詞の意味と誕生秘話|亡き母へ捧げた名曲の真相

コブクロ「蕾」歌詞の意味と誕生秘話|亡き母へ捧げた名曲の真相

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『蕾』の作詞・作曲を手掛けた小渕健太郎さんは、宮崎県での高校時代、18歳という多感な時期に最愛の母をがんで亡くしています。闘病生活を支えながらも訪れた早すぎる別れは、小渕さんの心に癒えることのない深い喪失感を残しました。後のインタビューや手記において、小渕さんは「母の死を受け止めるまでに長い年月が必要だった」と吐露しており、その悲しみと後悔、そして感謝の念こそが音楽活動の原動力の一つになっていたと明かしています。

コブクロがストリートライブからスタートし、メジャーシーンを駆け上がっていく中で、小渕さんは母への想いを直接的な楽曲として発表することをあえて控えていました。あまりに個人的で神聖な記憶であったため、安易に商業音楽として消費されることを恐れていたためです。しかし、結成から年月を経て表現者としての成熟を迎えた2006年冬、運命的なタイアップオファーが舞い込みます。それがリリー・フランキー氏の自伝的小説を原作とするドラマ『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』でした。

原作小説を読み込んだ小渕さんは、主人公の「ボク」と「オカン」の関係性に、かつての自分と母親の姿を強く重ね合わせました。報道陣向けの制作発表や公式ファンクラブ向けのコメントでも明かされた通り、「この作品のためなら、これまで封印してきた母への想いをすべて注ぎ込める」と確信した小渕さんは、溢れ出る感情を一気に五線譜へと書き留めました。こうして誕生した『蕾』は、フィクションのドラマ主題歌でありながら、小渕健太郎という一人の表現者が亡き母へ捧げた魂のレクイエムとなったのです。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。