現在でこそ華々しい活躍を見せるトップ俳優たちですが、そのブレイクの裏には知られざる苦悩や覚悟に満ちた下積み時代がありました。
阿部寛:創刊号表紙のプレッシャーと「モデル俳優」からの脱皮
1986年のメンズノンノ創刊号で初代専属モデルとして表紙を飾った阿部寛。彼が達成した「連続表紙43回」という記録はギネスブックにも申請された伝説的な偉業です。しかし、20代後半で本格的に俳優へ転身した際、当時の芸能界には「モデル出身は芝居ができない」「背が高すぎてヒロインと並べない」という強烈な偏見が存在しました。
仕事が激減し、パチンコで生計を立てるほどの困窮期を経験した阿部寛は、舞台演出家・つかこうへい氏の舞台『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』への出演を機に、二枚目をかなぐり捨てた怪演を開花させます。プライドを捨てて泥臭い小劇場から這い上がった経験が、現在の唯一無二の存在感を作り上げました。
坂口健太郎:メンノン発「塩顔男子ブーム」から演技派主演俳優へ
2010年にメンズノンノ専属モデルオーディションに合格した坂口健太郎は、雑誌の歴史を大きく塗り替えた立役者です。涼しげな目元と親しみやすい笑顔が「塩顔男子」として社会現象化し、2014年には専属モデルとして20年ぶりとなる単独表紙を飾る快挙を達成しました。
編集部やファンから熱狂的な支持を受ける中、映画『ヒロイン失格』や朝ドラ『とと姉ちゃん』への出演を通じて俳優業を本格化。モデル特有の「引き算の美学」を演技に応用し、台詞のない場面でも感情の機微を語る繊細な芝居で、国内外の映画賞を受賞する実力派トップ俳優へと上り詰めました。
成田凌:美容師からの大転身と「役者一本」への覚悟
美容専門学校に通い、美容師免許を取得していた成田凌は、就職活動の最中に「このままでは簡単に夢が叶ってしまう気がする」と自問自答し、メンズノンノのオーディションへ応募した異色の経歴を持ちます。合格当初から「役者をやりたいからモデルになった」と公言していた彼は、オーディションで数々の役を掴み取っていきました。
映画『スマホを落としただけなのに』での狂気的な怪演や、NHK連続テレビ小説『おちょやん』での好演など、役柄ごとに全く異なる顔を見せる変幻自在の演技力は、モデル時代に培った衣装やシチュエーションに応じた自己演出力の高さがベースとなっています。