大地を守る会を調べようとすると、必ずといっていいほど「宗教団体が運営しているのではないか」「何か怪しい思想があるのでは」という噂の真相を問う声に行き当たります。結論から明確に言えば、特定の宗教団体や政治組織との関連性は一切存在しません。
では、なぜこのような風評が長年にわたりネット上で囁かれ続けているのでしょうか。その背景には、団体の成立過程と独自のネーミングが関係しています。
大地を守る会の原点は、1975年に江東区の団地の一角で開かれた「青空青果市」でした。農薬の大量使用による健康被害や土壌汚染が社会問題化していた当時、農村の生産者と都市の消費者を直接結びつけようと立ち上がった市民運動が母体です。作家の故・藤本敏夫氏(加藤登紀子氏の夫)や藤田和芳氏らが中心となり、「農薬を追放し、大地を守る」という強い理念を掲げて発足しました。
草創期の記録や当時の活動手記には、次のような熱い言葉が刻まれています。
「農薬まみれの野菜を拒絶することは、単なる消費行動ではない。自分たちの身体と、それを育む日本の土壌を守るための静かなる革命なのだ」
昭和50年代において、このような強い信念を持った産直運動は、既存の流通業者や一般社会から見れば「常軌を逸した熱狂」や「特異な集団」として警戒の目で見られることがありました。さらに「大地を守る会」という情緒的かつ思想的な団体名称が、後年の新興宗教や啓蒙団体のネーミングと重なりやすかったことが、誤ったレッテルを生む要因となったのです。
現在では東証プライム市場に上場する上場企業グループの事業部門であり、厳格なガバナンスとコンプライアンスのもとで運営されていることは公知の事実ですが、初期の強烈な社会運動の記憶が断片化され、ネット上のデジタルタトゥーとして「怪しい」というキーワードに変換されて残存しているのが真相です。