ネット上のコミュニティやSNSでは、冬場を中心にお餅をめぐる切実な相談が急増します。大手Q&Aサイトやソーシャルメディアの投稿を分析すると、共通する典型的なパターンの苦痛が浮かび上がってきます。
「夜遅くに小腹が空いて切り餅を2個焼いて食べたら、夜中に激しい胃痛で目が覚めて一睡もできなかった」
「風邪で食欲が落ちていたので、栄養をつけようとお雑煮を食べたら胃がムカムカして下痢をしてしまった」
都内の消化器内科クリニックに勤務する専門医は、診察現場の実情を次のように指摘します。「正月明けや冬季に急激な胃もたれや急性胃炎の症状で来院される患者さんの問診票を見ると、高確率でお餅の摂取が関係しています。内視鏡検査を行うと、胃の中に未消化の硬い餅の塊がそのまま長時間停滞し、胃壁を圧迫して粘膜が充血しているケースが散見されます。患者さんの多くは『よく噛んで食べたはず』とおっしゃいますが、餅の粘弾性は想像以上に咀嚼を阻害するため、本人が意識している以上に大きな塊のまま嚥下されています」。
咀嚼が不十分なまま胃に落ちたお餅は、胃液が内部まで浸透するのに長時間を要します。その結果、未消化のまま十二指腸や小腸へ送り出されることになり、浸透圧の上昇によって腸管内に水分が引き寄せられ、お餅による消化不良や下痢へと発展するサイクルが生じるのです。