ネット上の掲示板や動画配信サイトで目立つ「ランクル300の価格崩壊」という煽り文句。この真偽を確かめるには、全国の業者向け中古車オークション(USSなど)における過去の落札相場推移を冷静に分析しなければなりません。
結論から述べると、「新車価格を割り込むような暴落(価格崩壊)」は一切起きていません。噂の震源地となっているのは、2022年半ばから後半にかけて記録された「異常バブルの巻き戻し」です。当時は初期納車された個体がオークションに出品されるやいなや、中東向け輸出業者による壮絶な競り合いが勃発し、新車価格800万円のGR SPORTに2,000万円から一時2,500万円以上の落札額がつくという、投機的な狂乱相場が出現しました。
その後、2023年から2024年にかけて為替の急激な変動、中東各国の輸入関税や年式規制(製造後一定期間経過車の輸入制限など)の見直し、さらにはディーラーによる転売対策の浸透によって、オークションの落札相場は1,100万〜1,400万円台へと急速に軟化しました。ピーク時の2,500万円水準から見れば「1,000万円以上の大幅下落」であるため、投機目的で最高値掴みをした転売ブローカーにとっては事実上の破綻を意味します。これがSNS上で「暴落」「価格崩壊」として拡散されたメカニズムです。一般的な自動車の減価償却の基準から見れば、数年落ちの中古車が依然として新車価格の130%〜170%で取引されている現状は、依然として世界最高峰のリセールバリューを誇る状態に他なりません。