月待の滝は、新緑が眩しい初夏だけでなく、晩秋と厳冬期に息を呑むような劇的変貌を遂げます。それぞれの季節における現場の見どころと撮影・鑑賞のポイントを整理します。
鮮烈なコントラストを描く紅葉の見頃時期(11月中旬〜11月下旬)
秋の深まりとともに、茶屋の名が示す通り、滝周辺のモミジやカエデ、ケヤキが一斉に鮮やかな紅や黄に染まります。月待の滝における紅葉の見頃時期は、例年11月中旬から11月下旬にかけてです。落葉樹の枝が滝を包み込むように張り出しているため、滝の裏側から水膜越しに透かして見る紅葉は、日本国内でも限られた場所でしか撮影できない幻想的な絵画の世界を作り出します。午前中の斜光が差し込む時間帯は、飛沫に光が乱反射し、虹と紅葉の共演に出会える確率が高まります。
厳寒期に現れる蒼氷のアート「氷瀑」(1月中旬〜2月上旬)
北茨城の冬は冷え込みが厳しく、大子町は氷点下5度を下回る真冬日が続きます。この寒冷な気候によって生み出されるのが、月待の滝の氷瀑(ひょうばく)という冬最大の見どころです。豪快に全面結氷する袋田の滝とは趣が異なり、月待の滝では三筋の水流の周囲から徐々に巨大な氷柱が発達し、水膜の外側を取り囲むように複雑な造形美を構築します。
氷で覆われたカーテンの隙間から勢いよく水が流れ落ち、その裏側の空洞に入ると、まるで天然の氷の神殿に迷い込んだかのような神秘性に包まれます。ただし、冬期は遊歩道や滝周辺の岩場が完全に凍結するため、防寒対策はもちろんのこと、スノーブーツや簡易アイゼンなどの滑り止め装備が必須となります。