ネット上の掲示板やSNSでは、「毎日少しずつ飲んでいれば肝臓が鍛えられて飲めるようになる」「ウコンやサプリを飲めば下戸でも克服できる」といった言説が散見されます。しかし、結論から言えば下戸の体質改善は医学的に不可能です。
アルコール脱水素酵素やALDH2の活性強弱はDNA配列によって生涯固定されており、後天的なトレーニングで遺伝子の塩基配列が変化することはありません。「飲み続けるうちに赤くならなくなった」「以前より量を飲めるようになった」と感じる人がいるのは、肝臓内の小胞体エタノール酸化系(CYP2E1)という補助的な解毒経路が一時的に誘導されたに過ぎません。
このCYP2E1が働いてアルコールを分解する過程では、大量の活性酸素(フリーラジカル)が発生します。その結果、肝細胞の破壊やDNAの損傷が加速し、肝臓がんや動脈硬化のリスクが跳ね上がります。つまり、「慣れた」と感じている状態は強くなったのではなく、毒素に対する危険感知アラームが麻痺し、より深刻な体内破壊が進んでいる危険な状態なのです。
また、市販のウコンドリンクや各種肝臓エキスサプリメントは、アルコールの分解をわずかに助ける可能性はあっても、欠損したALDH2酵素の代わりを果たすことはできません。「サプリを飲んでいるから無理をしても大丈夫」という過信は、致死的な身体負荷に直結します。