手軽で経済的な100均裾上げテープですが、万能ではありません。衣類のお直し専門店やアパレル関係者の知見を踏まえると、いくつかの明確な「施工限界」が存在します。
まず誤解されがちなのが、「すべての生地に使える」という思い込みです。シルクやアセテートなどの熱に弱い極薄素材、撥水加工が施されたナイロン製ウインドブレーカー、凹凸の激しいウールツイード、熱で溶けてしまう本革・合皮には使用できません。熱に弱い化学繊維に高温アイロンを当てると生地自体がテカリや熱収縮を起こし、取り返しのつかないダメージを受けます。
また、高級スーツや礼服への使用についても慎重な判断が必要です。洋服のリフォーム専門店による本格的な「まつり縫い」は、表地に縫い目を出さず、かつ布地の自然なドレープ(揺れ感)としなやかさを損なわない構造になっています。一方、熱接着テープで裾を一周ぐるりと固めてしまうと、裾口に硬さ(ハリ)が出てしまい、歩行時にパンツの裾が不自然に突っ張る現象が起きることがあります。