1970年代後半の歌謡界に投じられた一撃は、あまりにも過激だった。仕掛け人は稀代の作詞家・阿木燿子と、作曲を手がけた宇崎竜童の黄金コンビだ。当時、アイドルとしての枠組みを自ら破壊しつつあった山口百恵のために用意されたのが『プレイバックPart2』である。疾走する車のフロントガラス越しに繰り広げられる男女の心理戦を描いたこの楽曲は、従来の従順な女性像を根底から覆した。
阿木燿子が紡ぎ出した言葉は、まるで映画のカット割りのように鋭利だった。宇崎竜童による急転直下のブレイクと、そこに重なる「馬鹿にしないでよ」という呟き。山口百恵の低くドスの利いたアルトボイスは、スタジオの空気を一瞬で凍りつかせたという。単なる哀愁やセンチメンタリズムを排し、自らの足でアクセルを踏み込む女性のリアリティを音楽シーンに刻みつけた瞬間だった。