ウルスラが森の小屋で熱心に描いていた、カラスや天馬(ペガサス)が描かれた幻想的で力強い大作キャンバス。あの絵画には、実在するモデル作品が存在します。
原画となったのは、1976年に青森県八戸市立湊中学校の養護学級(現在の特別支援学級)の生徒たちが共同制作した木版画『虹の上をとぶ船』です。指導にあたっていた坂本敏夫教諭のもと、宮沢賢治の詩『月夜のでんしんばしら』にインスピレーションを受けて制作されたこの版画集に、宮崎駿監督が偶然出会い、その圧倒的な生命力と純粋さに強く心を揺さぶられました。
スタジオジブリは学校側に正式に使用許可を取り、版画の一部を元にアニメーション用の油彩画として再構成。ウルスラの情熱を視覚化するために、絵の中にキキの顔のモチーフなどを織り交ぜながら劇中の名画が完成しました。荒々しくも美しいあの筆致は、生徒たちが持つ純粋な創造エネルギーが宿った賜物です。