人間限界を超越する難行「千日回峰行」命を懸けた阿闍梨の全貌

人間限界を超越する難行「千日回峰行」命を懸けた阿闍梨の全貌

人間限界を超越する難行「千日回峰行」命を懸けた阿闍梨の全貌に関する専門家の意見を丁寧に解説いたします。

千日回峰行のなかでも、最も恐ろしい試練とされるのが「堂入り」である。700日を走破した行者だけに許されるこの儀式は、比叡山無動寺谷の明王堂に籠もり、9日間(丸7日半以上)にわたって一切の食糧、水分、睡眠、横になること(不臥)を断ち切る。

行者はひたすら不動明王の真言を唱え続ける。体内の水分は蒸発し、皮膚は乾燥して骨が浮き出る。息からは独特の臭いが漂い、五感は異常なほど研ぎ澄まされていく。毎夜午前2時、行者は不動明王に捧げる閼伽水を汲むため、井戸へと足を進める。その姿は自らの葬列を歩むかのようであり、文字通り「生き仏」へと変貌を遂げる脱皮のプロセスなのだ。この堂入りを無事成し遂げて初めて、行者は当体生仏の「阿闍梨」という称号を授与される。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。