名曲が生まれる背景には、作り手たちの極限の葛藤と、それを支えたメディアの存在がありました。特に70年代から80年代にかけてのフォークソングや歌謡曲は、コンテスト形式の登竜門や深夜放送を通じてリスナーの熱狂的な支持を集め、チャートを駆け上がっていきました。
その代表例が、NHKラジオ第1で放送されている『ラジオ深夜便』とそのコーナー「深夜便のうた」です。夜深い時間に孤独を感じている中高年や夜勤労働者に向けて選ばれた楽曲群は、派手な宣伝を行わずともリスナーの口コミによって静かに浸透し、何年ものロングセラーを記録してきました。深夜の静寂の中でパーソナリティの語りとともに届く音楽は、聴き手にとって単なる娯楽ではなく、人生の伴走者としての重みを持っていたのです。
当時のプロデューサーや作詞・作曲家たちの証言によると、流行歌の多くは「流行を狙ったもの」よりも、「個人の極めてプライベートな痛みや実体験」を徹底的に掘り下げたものの方が、結果として大衆の心を強く打ったとされています。