耳たぶや軟骨に装着していたピアスが皮膚の下へと潜り込んでしまう現象は、医学的にも珍しいトラブルではありません。主にファーストピアスの腫れが引き金となるケースや、キャッチの締め付け過ぎによって発生します。人間の皮膚組織は持続的な圧迫と炎症に非常に弱く、一定の条件下で急速に異物を包み込もうとする生体反応を示します。
代表的な発生要因としては、ピアスの有効軸長(ポストの長さ)不足が挙げられます。市販のピアッサーに付属しているファーストピアスは軸の長さが6mm前後のものが多く、耳たぶが厚い人や穴あけ直後の腫れが強く出た人にとっては物理的な余裕がありません。組織が膨張すると、ピアスのフロントヘッドや埋まったピアスキャッチが皮膚を内側から強く圧迫し、血流障害(虚血)を起こします。
圧迫された表皮組織はやがて壊死し、そこにできた裂け目からピアス本体が皮下組織へとめり込んでいきます。さらに、人間の身体には「傷ついた皮膚を修復して異物を閉じ込めようとする創傷治癒メカニズム」が備わっているため、わずか数日から1週間程度でピアスの頭上に新しい皮膚が再生し、完全に皮下に密閉されてしまうのです。
また、就寝時の圧迫寝相や、金属アレルギーによる急性湿疹、不潔な手で触れたことによる細菌感染も腫れを急速に増悪させ、埋没を加速させる主要因となります。